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着物の染色補正師 家紋のオモロさに気づく。
家紋研究家の第一人者である森本勇矢氏。はじまりは、家業である染色補正業での仕事であった。染色補正とは、着物などに染物をした際の「染難」、染料のこぼれ、金加工の際の不純物等を直す、言わば影の仕事である。着物を扱う中で「紋」に触れる機会が非常に多かったことが、森本氏の関心の起点となった。
そんな家業の仕事の中で、自社サイトを立ち上げることに。
他社との差別化を図るために試行錯誤していたある時、父がふとお客さんに語っていた“織田信長と「団子の紋」についての俗説”に森本氏は衝撃を受けた。そこで、はじめて家紋に歴史的なエピソードが存在することを知り、そういった家紋に関する俗説等をサイトで連載し始めたのである。そして、執筆を進める中で、父の話の情報源を自分自身で調べ始めたことが、家紋研究のはじまりであった。
女性だけがつける「女紋」の存在を知り、なんと自費出版。
家紋について調べて、そのコラムをHPに掲載していく中、「女紋」という女性だけがつける紋にまつわる話を取り上げることに。「女紋」の文化は西日本以外では浸透しておらず、婚姻、縁組の時に揉めることが多々あると。そういった問題を解決するために、女紋に関する情報を発信していったのだ。すると、その発信がお客様を中心に反響を呼び、さらに連載を重ねて、自ずと自分の中に情報が蓄積されていった結果、その内容をまとめて女紋に関する著書を自費出版することに。
その後いくつかの本を父と共に出版し、そして森本氏が単独で本を出すことになった際にはじめて、「家紋研究家」を名乗ることになった。

災害で失われていく家紋。3.11が研究活動の大きな転機に
家紋研究家を名乗るにしては、まだまだ知識が未熟であることもあり、先の第一人者であった家紋研究家の先生に師事することに。
森本氏:「毎日のように言われたのが、『君はフィールドワークに行きなさい』と。つまりは、『家紋が多く見られる、お墓へ行きなさい』と。」
森本氏:「素直に行きゃいいのですが、何しろ出不精でずっと行っていなかった。でも、そんな時に起こったのが、3.11だったんです。連日のようにニュースで色々な映像が流れていて、お墓が流されていたり、倒壊している様子なんかも流れていた。それを見たときに、『もしかしたら、そこにしかなかった家紋が永久に失われてしまったんじゃないか』『新しくお墓を再建する時に、自分の家の家紋がわからなくなっているんじゃないか』、そう思ったんです。」
出不精でなかなか研究活動に精を出せていなかったが、3.11をきっかけに、森本氏は師匠の指示通りフィールドワークを開始。お寺のお墓に珍しい紋があったりと、まだ見ぬ家紋の世界に魅了されていった。そして、京都家紋研究会を立ち上げて共に活動する仲間を募り、フィールドワークを介して家紋に対する見識もどんどん高まっていったのだ。
森本氏の家紋研究活動の根本にあるのは、「若者に日本文化に誇りを持って欲しい」という強い願いであった。家紋をはじめ、古くから紡がれてきた「奥ゆかしい日本の文化資産」を守り継いでいってほしい、という願いが森本氏にはある。そんな想いで現在は家紋研究の傍ら、日本文化を発信していく活動を精力的に行っている。
森本氏:「家紋から日本の文化を知ってほしいっていう目的でこれまでやっていたんですが、限界があると思った。だから、その逆がしたいなと思ったんです。」
森本氏は、「日本文化チャンネル わっしょい」という日本文化を幅広く発信するYouTubeチャンネルを立ち上げ、京都祇園にある「半弓道場」という弓道体験施設のアドバイザー、高知市への移住・定住を促進するプロジェクトの立ち上げ、そして地方紙で家紋にまつわるコラムを連載されている等、多岐にわたる活動を行っている。また、今年はテレビ出演も控えているそう。

日本文化へのオモロい入口を作りたい、YouTuberにも挑戦。
森本氏:「家紋や日本文化に関する発信する一般的な先生方の話は、『○○の氏族はこうで…』という学術的な話が多くなってしまう。僕が発信する場合は、面白い、興味を持たせる内容にしなきゃいけないと思っている。家紋を図鑑にしたり、アニメキャラに擬人化してみたり、日本文化をYouTubeでライトに発信してみたり、とにかく間口を広く取っていくことを考えている。」
森本氏いわく、家紋しかり、日本文化しかり、自分の役目はたくさんの人がその分野に興味を持ってもらう間口・入口を作っていくこと。あの手この手を使って、オモロい入口を作っていくことが使命であると。
知らず知らずのうちに触れていた家紋。その家紋を調べていく中で、気づけば家紋研究者に。
そして現在は日本文化を発信する活動を多岐にわたって行っている森本勇矢氏。そんな森本勇矢氏の”オモロい”活動に、今後も注目していきたい。
【森本勇矢氏のプロフィール】
1977年京都府生まれ。京都家紋研究会会長。日本家紋研究会副会長。(有)染色補正森本専務。テレビ番組やYouTube番組への出演をはじめ、新聞連載、雑誌への寄稿や著書の出版、講演会やイベントなどを多数開催し、家紋の魅力だけでなく、日本文化を後世に伝えるために活躍する。「着物お手入れチャンネル」などのYouTubeチャンネルの企画・編集なども手がけるほか、日本文化事業へのアドバイザーなども行っている。
著書に『日本の家紋大事典』(日本実業出版社)、『家紋無双』(知楽社)、『紋葉記』(自費出版)、『日本の名字・家紋大事典』(ユーキャン)、監修に『思わず語りたくなる家紋の図鑑(三才ブックス)』などがある。
『日本文化チャンネルわっしょい』
「日本人にこそ知って欲しい!日本文化」をテーマに日本文化を広く!楽しく!学べるチャンネル
URL:http://www.youtube.com/@wassyoi-j4s
『着物お手入れチャンネル〜アンティーク着物再生京都森本〜』
URL:https://www.youtube.com/@antiquekimono
『京都 半弓道場』
京都祇園にある、座って手軽に弓道体験ができる施設。海外の方に人気で、初心者の方でも、3歳以上の方からご体験可能
公式サイト:https://www.hankyudojo.online/
アクセス:https://maps.app.goo.gl/hQakvEWKkGkfxQdj8
京阪「祇園四条」駅から徒歩5分
阪急「京都河原町」駅から徒歩10分
『高知へカモンプロジェクト』
高知市への移住・定住をさらに促進していくため、新たに高知市で暮らすことを決めた転入者を高知市民全体で歓迎するプロジェクト。転入者に歓迎の意を込め、特別に制作した「移住紋」を刷ったウェルカムギフトをプレゼントする企画。
概要:https://www.city.kochi.kochi.jp/kochi-life/pages/kochihecomeon.html
